先日の金曜の帰り道にバッテリートラブルで車が止まってしまい、JAFを呼んでなんとか帰宅するというバタバタな状況ですが、来週に迫った演奏会のご案内を再度しますね。
9/27(火)は「地元アーティストによる コンサート・ア・ラ・カルト vol.20 木管編」に出演します。
この演奏会では今までいろいろアンサンブルを組んで演奏してきましたが、今回はひとりで演奏します!
なんだかずいぶん久しぶりのソロですが、魅力的な作品を2曲演奏するのでぜひ。
1曲目はL.カユザックが作曲した「アルルカン」。
道化師と同じような意味を持つフランス語なんですが、とてもおもしろいキャラをした曲です。
わずか3分に喜怒哀楽を詰め込んだ感じですね。
楽しく聴けると思います。
もう1曲は逆にものすごくシリアスな作品に挑戦します。
O.メシアンが作曲した「世の終わりのための四重奏曲より III.鳥たちの深淵」です。
タイトルからして重たい感じですが、メシアンが第二次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜となり収容所に収容されているときに作曲した作品で、新約聖書「ヨハネの黙示録」の10章に着想を得て書かれたと言われています。
フランス語では「Quatuor pour la fin du temps」ですので、「世の終わり」というか「時の終わり」が直訳になり、「時」とは「時間」のことだったり「時代」とも考えられますね。
全曲を通してメシアン独特の混沌とした響きやリズムを用いていて、現実世界ではなく夢の中のような感覚になり、まさになにかしらの「終わり」を感じます。
今の平和な世の中にいてはわからない当時の状況が伺えますね…。
こうした状況は資料を見たり映画などを見て想像するしかないです。
演奏する「鳥たちの深淵」(Abîme des oiseaux)は全8曲中の3曲目にあたる曲です。
次の曲が「間奏曲」になっていますし、前半の最後の曲とも言えます。
重要なところにソロ、もしくはピアノとのデュオを入れている感じですので、この3曲目にクラリネットのソロを入れていることに意味を感じます。
8分音符=44と非常に遅いテンポが書かれており、それが「深淵」であり、とてつもなく長い「時」を表しているようで、おそらく苦痛に感じるでしょう(^^)
まあそれを意図としていますからね。。
そのあとに鳥の鳴き声を模したパッセージが登場しますが、これがどうやら「希望」を表している感じです。
重たい時の流れとは逆に自由に歌う鳥。
この構図がより「深淵」を引き立て、そしてまた飲まれていきます。。
この曲以降、雰囲気が変わっていき、最後はとても美しいヴァイオリンのソロとなっています。
そのこともあって、メシアンは平和への祈りをこの曲に込めたのでないかと思いました。
楽譜のメシアンのコメントにも書いてありましたが、全8曲なのも、「天地創造」の6日の後の7日目の安息日が延長し不変の平穏な8日目が訪れる、と意味を込めてあるとのことです。
「世の終わり」は「戦争の時代の終わり」なのかもしれませんね。
長くなりましたが、当日配布する曲目解説に載せきれない僕なりの考えを書いてみました。
考えがあってもうまく当日演奏で表現できなかったら意味がないのが音楽の難しいところ。
電気文化会館という室内楽では最高の音響効果をもたらしてくれるホールで、ぜひカユザックとメシアンの音楽をお楽しみください。